7月6日(2021年)読売新聞朝刊の湘南版に、近所の大船フラワーセンターで"双頭蓮"が開花した、との記事が掲載されていた。1本の茎に2つの花を付ける珍しい咲き方をするもので、50年から100年に一回しか見られないという。古来吉兆の花とされているとのこと(日本書紀にもみられる)。 早速9時の開園と同時に入園し、撮影してきた。同センターのホームページによれば、6月末に"紅鷲"という蓮の1本の茎に二つの蕾がついているのを確認し、観察していたところ、5日の朝に開花が確認され、7日朝には散っていたという。当該ホームページは、こちらから。なお、、同センターには、420種450株の蓮が栽培されているそうで、開花の季節になると、園内の"玉縄桜広場"という、かつては池だった跡を埋めてコンクリート舗装した広場に、鉢植えの蓮が多数陳列される。 因みに、この場所は、現在の公設民営(2018年4月にいわゆる民営化=指定管理者制へ移行)の形態になる前、すなわち神奈川県環境農政局の直轄組織だった頃は、夏には水面に赤い水連が浮かび、初冬には大きな銀杏が影を映すという風情があり、池の周りには、"半夏生"の群落もあるかなり大きな池であったのであるが、ここを何故に埋め立ててコンクリート張りにするのか、甚だ理解に苦しむ。この広場に点々と"
玉縄桜"(注1)が植えられているが、花をつけるのは一年のうち、2月から3月の一か月程度であり、それ以外の季節は、人気のない意味のない空地に過ぎず、夏は太陽の照り返しで近づく気にさえならないのである。また、この広場と同時に、牡丹園脇にも同様のコンクリートのスペースが出現した。以前のことは、よく覚えていないが、竹やぶだったように思う。このスペースも敢えてコンクリート張りにするのか理解できない。公園の整備とは、自然のものを破壊して見た目を綺麗にすることなのか。 考えられることは、民営化(注2)に際して、事業提案業者(本件では日比谷花壇)が維持費用を極力割愛するために、メンテナンスに手間のかかる池を埋め、コンクリート舗装にしたのではないかということである。民間企業としては、手間=カネのかかることは極力やらないという企業論理であるにしても、事業主体としての県が、予算面だけ見て、植物園としての在り方を検討することなく丸投げした、という感は免れ難い。筆者は、当センターの事業は県の直轄事業として維持する必要はなく、民営化もあるべしという意見であったが、提案された事業内容の検討が疎かだったと言わざるを得まい。県の財政も苦しい折から予算部局の力が強いということもあるかもしれない。
(注1)ソメイヨシノの実生から育成した当センターオリジナル種の早咲きの桜で、現在はこの地域の道路や公園、学校に広く植えられており、地元では、3月から4月にかけてのソメイヨシノと二回の花見を楽しむことができる。
(注2)いわゆる民営化が発表されると、民営化反対のためのNPOが組織され、反対運動と運動資金の募金が行われたが、その運動たるやかなり観念的なもので、リーダーの一人は、もし民営化したら北海道の鉄道のようになってしまう、などと訳の分からないことを言っていた。ご本人は北海道出身で、JR民営化により国鉄時代の路線がどんどん廃止されるのを念頭にした発言であろうが、フラワーセンターが廃止されるわけでもないし、話にならない。植物公園の在り方などを真剣に検討し、計画内容の変更を迫るような建設的な運動でなかったことが残念である。真面目に募金に応じた市民のお金はどうなったのであろうか。
過去に撮影した蓮の画像も併せて掲載することとした。
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