大磯の史跡

 澤田美喜記念館

・澤田美喜記念館は、三菱財閥の創始者岩崎弥太郎の孫である澤田美喜(1901〜1980)が戦後運営してきたエリザベス・サンダース・ホーム(1948年設立)の敷地内に1987年設立したもので、同女史が戦前戦後四十年にわたって蒐集してきた、江戸時代の隠れキリシタンの遺品や関連する品々を展示、公開している。
大磯駅前のこの広大な敷地は、元々岩崎家の別邸であったが、戦後の財閥解体に伴い財産税として政府に物納したものを、澤田がこれを買い戻し、米占領軍兵士との間に生まれた混血児の救済と養育のための施設を設立したものである。
・記念館の建物はノアの方舟をイメージした長六角形の船型になっており、1階にコレクション展示室、2階に澤田美喜記念礼拝堂が置かれている。
蒐集されたキリシタン遺物は872点に及ぶが、そのうち300点が展示されている。珍しいと思われるのは、キリシタン武士の「刀の鍔」が相当数展示されていることであり、長崎などで必ず見かけるロザリオは目につかなかった。
展示品に関しては、品名のみが記載され、蒐集した地名・出所、由来などが明らかにされていないのが、やや物足りない感を残した。有料の解説書には詳しく掲載されているのかもしれないが。
地域は主として九州のようなので、平戸から外海、そして島原へ至る長崎県の各地と、同じく長崎県の五島列島ということになろう。展示品の中で、「細川ガラシア夫人の"かんざし"」は、他にはないものと思われる。
長崎(西坂、外海など)で見るような、迫害・殉教といった歴史を背景をにした迫力はないが、首都圏でこのような遺物が見られる当館は貴重な存在であろう。
(画像はクリックで拡大します)
   
澤田美喜記念館入口
(大磯駅前広場バス停の前)
  記念館正面
  正面階段両脇の鉄製十字架
(長崎の26聖人に因み、左右に
各13本)
   
記念館玄関から鐘楼、切支丹灯篭
を望む
  鐘楼
  切支丹灯篭
   
1階展示室内部  1階展示室奥の慰霊の部屋
(澤田美喜の遺骨が分骨されている)
  細川ガラシア夫人の"かんざし
 
2階への階段室  澤田美喜記念礼拝堂
澤田美喜レリーフ
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